Chrome の XSLT 廃止:表示されなくなる XML ページと、いまできる対処法
Chrome は、XSL スタイルシートで整えられた XML ページに、XSLT が使われていることを知らせる警告バナーを表示しています。2026年11月17日の Chrome 158 からはこうしたスタイルシートが適用されなくなり、ページには生の XML タグが表示されます。この記事では、警告の意味、影響を受けるページ、閲覧する方とサイト運営者ができることをまとめます。
XSL スタイルシートを使う XML ページを開くと、Chrome はページの上部に次のメッセージを表示します。文言はブラウザの言語で表示され、英語版では次のとおりです。
This site uses XSLT; that functionality is being removed from this browser very soon. When that happens, this page will likely no longer display correctly. You might be able to install a browser extension that allows you to continue viewing it. Otherwise, you should contact the maintainer of the site for further information.
意味(要約):このサイトは XSLT を使用していますが、この機能はまもなくこのブラウザから削除されます。削除されると、このページは正しく表示されなくなる可能性があります。ブラウザの拡張機能を入れれば引き続き閲覧できる場合があります。それ以外の場合は、サイトの管理者に問い合わせてください。
つまり、このページは XSLT で組み立てられていて、Chrome はその XSLT を廃止するということです。いまはまだ表示されますが、2026年11月17日の Chrome 158 からは、整ったレイアウトの代わりに生の XML が表示されます。どう対応するかは、立場によって変わります。
- 閲覧する方:スタイルシートをもう一度適用する拡張機能を入れます。XMLNest か、公式の XSLT Polyfill 拡張機能です。
- サイト運営者:XSLT 変換をサーバー側で行う方法(英語)を使うか、ページに xslt-polyfill スクリプトを追加します。
- 社内の IT 担当者:エンタープライズ ポリシー XSLTEnabled を使えば、管理対象のブラウザで 2027年8月17日まで XSLT を残せます。
- 開発者:XSLTProcessor を呼び出す JavaScript も動かなくなります。どちらの拡張機能でも元に戻せますが、XMLNest が元に戻すのは、利用者が有効にしたサイトだけです。
Chrome で XSLT が使えなくなるのはなぜですか
XSLT は、XML 文書を読みやすいページに変換するための言語です。XML ファイルが指定する XSL スタイルシートを使って変換します。Chrome はこの XSLT を取り除くことを決め、発表の中で次のスケジュールを示しています。
| Chrome のバージョン | 日付 | 内容 |
|---|---|---|
| Chrome 143 | 2025年12月2日 | XSLT が正式に非推奨になります。デベロッパー コンソールと Lighthouse に警告が表示されます。 |
| Chrome 158 | 2026年11月17日 | 安定版(Stable)で XSLT が動作しなくなります。例外は、オリジン トライアル(origin trial)に参加しているサイトと、エンタープライズ ポリシーを使うブラウザだけです。 |
| Chrome 176 | 2027年8月17日 | オリジン トライアルとエンタープライズ ポリシーも終了し、すべてのユーザーで XSLT が無効になります。 |
理由はセキュリティです。Chrome の説明によると、libxslt のようなライブラリは複雑な C と C++ のコードで書かれており、バッファ オーバーフローなどのメモリ安全性の脆弱性が生じやすいとされています。
影響を受けるページ
Chrome によると、XSLT を使うのはウェブページの読み込み全体の約 0.02% にすぎません。数は少ないものの、次のような種類のページに集中しています。
- WordPress のサイトマップ:WordPress 5.5 以降、WordPress は
/wp-sitemap.xmlにサイトマップのインデックスを公開し、すべてのサイトマップを整えるための XSL スタイルシートを用意しています。詳しくは WordPress のサイトマップを見る方法(英語)をご覧ください。 - XSL でスタイルを適用した RSS フィードと Atom フィード:Chrome は、既存のフィードの多くで、ブラウザで直接開いたときに生の XML を読みやすくするために XSLT が使われていると述べています。RSS フィードがただのテキストで表示されるときの対処法(英語)も参考にしてください。
- 組み込み機器:Chrome は、ローカル ネットワーク上で利用者向けに XML データを生成する市販の機器も挙げています。こうした機器の多くは更新が難しいか、更新できません。Chrome はこれらの機器について、ブラウザの拡張機能を案内しています。
代わりに表示される画面
XSLT が無効になるとスタイルシートが適用されないため、スタイルシートが組み立てていたレイアウトがなくなります。表も見出しも、クリックできるリンクも表示されません。
廃止されるまでは、上で引用したバナーが整ったページの上部に表示されます。バナーのリンクからは、Chrome Platform Status にある今回の廃止の項目と、Chrome ウェブストアで「XSLT Polyfill」を検索した結果に移動できます。英語版で「Never show this warning」と書かれたチェックボックス(この警告を今後表示しない)をオンにしてからバナーを閉じると、すべてのサイトでバナーが表示されなくなります。ページがすでに polyfill スクリプトを読み込んでいる場合や、エンタープライズ ポリシーかオリジン トライアルで XSLT が有効なままの場合、Chrome はバナーを表示しません。
XMLNest では、ページそのものがどう見えるかも確かめました。XSLT を無効にした Chromium 156 で、XSL スタイルシートにリンクした XML ページを開くと、「This document cannot be formatted as intended」(この文書は意図したとおりに整形できない、という意味)というメッセージが表示されました。その下には生の XML、つまりファイルのタグと文字がレイアウトなしで並んでいました。
e-Gov や日本年金機構の電子公文書の場合
電子申請(e-Gov)や日本年金機構から届く電子公文書は、XML と XSL が入った ZIP ファイルです。Chrome で書類の形に表示するには XSLT が必要です。
なお Chrome は以前から、パソコン上の XML(file://)からは XSL スタイルシートを読み込みません。XML をダブルクリックすると真っ白になるのはこのためです。日本年金機構は、ZIP の中身をすべて展開してから XML を Microsoft Edge か Safari で開くよう案内しています(2026年4月3日更新)。2026年(令和8年)3月18日からは、e-Gov の公文書表示で、展開した XML と XSL をすべて選んでブラウザに表示することもできます(ポップアップのブロック解除が必要です)。ZIP の中身と公式の方法は、e-Gov の公文書が開けないときの対処法で詳しく説明しています。
Chrome 158 以降は、ブラウザ内蔵の XSLT(XSLTProcessor)に頼る閲覧ツールも Chrome では動かなくなります。無料の電子公文書ビューアは独自の XSLT エンジンで ZIP をそのままブラウザに表示し、ファイルはどこにも送信しません。
XMLNest と公式の XSLT Polyfill 拡張機能の違い
Chrome の発表がリンクしている拡張機能は、XSLT Polyfill の一つだけです。XSLT を使う生の XML ページに、xslt-polyfill というライブラリを適用します。Chrome ウェブストアで公開している XMLNest は、同じオープンソースのライブラリを使った独立の拡張機能です。違いは次のとおりです。
| XSLT Polyfill(公式) | XMLNest | |
|---|---|---|
| エンジン | xslt-polyfill | xslt-polyfill |
| インストール時のサイトへのアクセス | Chrome-Stats によると、すべてのサイト | なし。ワンクリックですべてのサイトで有効にするか、サイトごとに有効にします |
| XSLTProcessor を使う JavaScript | ストアの紹介ページによると、対応 | 対応。有効にしたサイトのみ(バージョン 1.3 以降) |
| スタイルシートのない XML | ストアの紹介ページによると、何もしない | 検索付きの折りたたみツリー、ソース表示、フィードとサイトマップ向けの閲覧ビュー |
| 料金 | Chrome-Stats によると、無料 | 無料 |
どちらもページをお使いのブラウザの中で処理します。XMLNest はさらに、変換したページに含まれるスクリプトを、そのサイトで許可しない限り実行させません。
整った XML ページが元どおり見られれば十分で、Chrome が案内している拡張機能を使いたい場合は、公式の拡張機能が良い選択です。すでに公開されていて、いますぐ使えます。
サイト運営者の対処法
サーバー側で変換する:XSLT 変換をサーバーで実行し、できあがった HTML を返します。コードは PHP・Python・Node.js でサーバー側で変換する例(英語)で紹介しています。先にスタイルシートを試したい場合は、XSLT テスターで結果をブラウザ上で確認できます。
xslt-polyfill スクリプトを追加する:xslt-polyfill の README では、スタイルシートを指定する行の後に、script 要素を XML 文書のルート要素の子として直接置く例が示されています。
<script src="../xslt-polyfill.min.js" xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml"></script>
xmlns 属性は消さないでください。README によると、script 要素は XHTML の名前空間に属していないと実行されません。この polyfill が対応するのは XSLT 1.0 だけです。新しいバージョンの XSLT については、README は SaxonJS を案内しています。
フィードの場合:Chrome は、サイトの HTML ページに <link rel="alternate" type="application/rss+xml"> 要素を追加するか、フィード自体に polyfill スクリプトを追加する方法を挙げています。
時間が必要な場合:Chrome のオリジン トライアルを使えば、2026年11月17日を過ぎても、2027年8月17日の Chrome 176 までサイトで XSLT を使い続けられます。
よくある質問
XSLT を使用しているという Chrome の警告(英語では This site uses XSLT)は何を意味しますか。
表示しているページが、XSL スタイルシートで整えられた XML ファイルであることを示しています。Chrome は、このスタイルシートを適用する XSLT という技術を廃止します。いまのところページは表示され、バナーは警告にすぎません。2026年11月17日の Chrome 158 からは、同じページに生の XML タグが表示されます。
Chrome で XSLT のページが表示されなくなるのはいつですか。
2026年11月17日の Chrome 158 からです。Chrome のオリジン トライアルに参加しているサイトと、エンタープライズ ポリシー XSLTEnabled で管理されているブラウザでは、2027年8月17日の Chrome 176 まで XSLT が使えます。Chrome Beta、Dev、Canary では、Chrome 145 から XSLT が初期設定で無効になっています。
これらのページを見続けるにはどうすればよいですか。
ブラウザ上でスタイルシートをもう一度適用する拡張機能を入れます。バナーのリンクから探せる公式の XSLT Polyfill 拡張機能か、XMLNest です。Chrome の発表では、一般のユーザーが XSLT を元に戻す設定は案内されていません。XSLT を残せるのは、管理対象のブラウザ向けのエンタープライズ ポリシー XSLTEnabled だけで、期限は 2027年8月17日です。
自分のサイトが対象です。何を変えればよいですか。
XSLT 変換をサーバー側で行って HTML を返すか、XML ファイルに xslt-polyfill スクリプトを追加します。このスクリプトをすでに読み込んでいるページには、Chrome は警告を表示しません。対応に時間が必要な場合は、Chrome のオリジン トライアルを使えば、2027年8月17日までサイトで XSLT を使い続けられます。
ほかのブラウザでは XSLT を使い続けられますか。
Chrome の発表によると、Firefox と WebKit(Safari のエンジン)の各プロジェクトも、ブラウザ エンジンから XSLT を取り除く予定を示しています。頼りにする前に、各ブラウザの公式の案内を確認してください。
出典
- Chrome for Developers: Removing XSLT for a more secure browser (2026年10月14日確認)
- Chrome Enterprise: XSLTEnabled, Control the availability of the XSLT feature (2026年10月14日確認)
- XSLT Polyfill - Chrome Web Store (2026年10月14日確認)
- Chrome-Stats: XSLT Polyfill(権限と料金、第三者によるデータ) (2026年10月14日確認)
- XSLT Polyfill:GitHub の mfreed7/xslt_polyfill の README (2026年10月14日確認)
- Make WordPress Core: New XML Sitemaps Functionality in WordPress 5.5 (2026年10月14日確認)
- Chromium のソースコード:XSLT 警告バナーの文言(blink_strings.grd) (2026年10月21日確認)
- Chromium のソースコード:XSLT 警告バナーが表示される条件(xslt_processor.cc) (2026年10月21日確認)
- 日本年金機構:電子申請で届いた公文書の閲覧方法 (2026年10月26日確認)
- e-Gov 電子申請:公文書表示 (2026年10月26日確認)
- XMLNest によるテスト :2026年10月14日に XMLNest が Chromium 156.0.8078.4 で XSLT を無効にしてテスト:XSL スタイルシートにリンクした XML ページに「This document cannot be formatted as intended」というメッセージが表示され、続いて生の XML タグが表示された (2026年10月14日確認)